1 難病患者の登録者証を活用し、更なる支援の充実を
(1)公共施設の使用料の減免について
(2)コミュニティバス等の交通費支援について
○佐々木郷美 委員
議案外質問通告書に従って進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
1番、難病患者の登録者証を活用した更なる支援の充実
難病というのは、発病のメカニズムが明らかでなく、治療方法も確立していない、長期にわたって療養を必要とする病気で、主症状として全身的な体調の崩れやすさを伴い、症状が見えにくくて安定しないため、不安を抱えて生活している方が多くおられます。令和6年4月の改正難病法施行に伴い、難病の患者が福祉、就労等の各種支援を円滑に利用できるように、都道府県等が患者の申請に基づき、難病の患者が指定難病に罹患していることを証明する登録者証を交付する事業が創設されました。この難病患者の登録者証の発行と活用をさらに一歩前進させて、難病患者の社会参画や生活の自立支援を望む声をいただいていますので、公共施設の使用料の減免についてお尋ねいたします。
その一歩として駐車場を含めた公共施設の利用料金に関して、令和6年6月の定例会の一般質問で、当会派の佐伯議員が、さいたま市障害者の利用に係る公の施設使用料等減免条例を改正して、指定難病の受給者も条例の対象に含めるよう提案し、市も担当所管と協議の上、前向きに検討するというご答弁いただきました。その検討状況を示してください。
○障害福祉部長
佐々木郷美委員の御質問の1、難病患者の登録者証を活用した更なる支援の充実(1)公共施設の使用料の減免についてお答えいたします。
委員ご質問のとおり、令和6年6月定例会において、福祉局長から、さいたま市障害者の利用に係る公の施設使用料等減免条例の減免対象として、従前の身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方に加え、指定難病の受給者を含めることを検討する方向性を示したところでございます。令和6年6月定例会後の検討状況としては、使用料が減免となるスポーツ施設やコミュニティ施設等96の施設の所管課に対して、減免対象を拡大した場合の影響額や窓口業務への影響について調査を行い、現在こうした調査結果を踏まえ、関係部局と減免対象の拡大に向けて調整を行っているところでございます。指定難病の受給者を減免対象に含めることは、委員ご指摘のとおり、当事者の社会参加の促進が見込まれ、また、当事者団体からのご要望もいただいていることから、対象拡大の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○佐々木郷美 委員
ありがとうございます。96施設ということで、本当に多くの施設や担当者の方と調整いただいているところだと思いますが、難病患者の皆様にとっては、それだけ活躍の場や社会参画できるアクセスが増えるということになりますので、ぜひ引き続き検討を前に進めていただきたい。
(2)コミュニティバス等の交通費支援について取り上げます。
身近な足であるコミュニティバスやタクシーなど、交通サービスの割引、無料に関しても、障害のある方と同様に、難病者にも適用している自治体があります。例えば所沢市では、西武バスが運行する市内循環バスは、障害者同様、難病患者も無償で利用できるようになっております。また、ふじみ野市のお出かけサポートタクシーでは、タクシー料金の半額上限800円までが、年に24回まで助成される制度があり、こちらも障害のある方同様に、難病患者の方にも適用されております。さいたま市の市民にも一番身近な足であるコミュニティバスには、障害者とその介助者は半額になるという割引のサービスがあります。また、国際興業バスも、障害のある方には、普通運賃は50%割引、定期運賃は30%に割引になる支援制度があります。このような割引制度、減免制度を指定難病の当事者にも広げて利用できるよう、都市局や民間バス事業者と連携してご協議いただきたいと思いますが、ご所見を伺います。
○障害福祉部長
ご質問の(2)コミュニティバス等の交通費支援についてお答えいたします。
障害のある方のバスや鉄道の運賃割引の現状としては、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方が、現状においては対象となっております。一方で、指定難病の受給者については、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律において、障害者と定義されているものの、割引制度の対象となっていないのが現状でございます。こうした状況を踏まえて、国において、先ほど委員もおっしゃいましたとおり、令和6年4月に、指定難病の受給者の円滑なサービスの利用を目的とした受給者証の発行事業が創設されたことから、福祉局としても、こうした登録者証の趣旨について、交通政策を所管する都市局と共有して、指定難病の受給者も、他の障害と同様の割引が受けられるように働きかけてまいりたい。
○佐々木郷美 委員
ありがとうございます。福祉局単独では進められないということも重々理解していますが、ご答弁のように、受給者証が創設されたというのは一つ転機になるかと思いますので、ぜひ前向きに他の所管にも働きかけをお願いしたい。
2 予防医療を充実させ、健康寿命の延伸を
(1)慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防について
(2)慢性腎臓病(CKD)の予防について
では、次に進みます。2番、予防医療を充実させ、健康寿命の延伸 を(1)慢性閉塞性肺疾患の予防について
通称COPDと言われている慢性閉塞性肺疾患は、たばこなどに含まれる有害物質によって気管支、肺がダメージを受け、呼吸がしにくくなる病気で、世界の死因原因の第3位、国内でも毎年1.6万人が亡くなっており、また、高血圧や心不全、循環器系疾患、がんなどの合併も多いと言われています。国の健康日本21(第三次)でも、COPDの認知度向上に加えて、死亡率の減少が目標値に掲げられ、さいたま市でもヘルスプラン21の中の喫煙対策の中で、COPD死亡率の減少が目標として掲げられております。しかしながら、一般的な認知度が大変低く、正しい知識普及を目的としている一般社団法人GOLD日本委員会の調査では、2022年12月時点での認知度は、34.6%です。さいたま市でも、先日、11月20日の世界COPDデーに合わせて、SNSのXの中でも、このように積極的に啓発活動を行っている様子を拝見しました。このCOPDの危険性の周知や重症化予防の認知度向上のために、さいたま市ではどのようなことに取り組んでいるのか、お示しいただきたい。
また、もう一点、COPDの診断には、呼吸機能検査等が必要となっているが、特定健診などの健診には含まれず、知らない間に病気が進行するおそれがあります。そのため、早期の受診勧奨も必要だと考えています。そこで、提案したいのが、日本呼吸器学会が推奨しているCOPDの可能性があるかを手軽に調べることができるCOPD-PSというスクリーニング質問票があります。
このように、5問ある簡単なセルフチェックができるようなシートは、埼玉県のホームページに掲載されていて、現在誰でも閲覧できるようになっております。一歩進んで先進的な取組として、東京都の大田区では、COPD-PSをがん検診の案内の中に同封物として加えており、このような薄い紙が実物です。これにチェックで合計点を出していただき、数値の高かった方は呼吸器科を受診するように勧奨されています。この取組は、単なるチラシ配架ではなく、広く市民に配布することで、低コストで受診勧奨できるという意味では、優れた取組だと思います。さいたま市でも、同様のチェックシートなどの活用、また、このように郵便物に同封するような取組も参考になると思いますが、ご見解をお示しください。
○保健部長
お答えさせていただきます。COPDの認知度については、さいたま市健康づくり計画策定の際に行ったアンケート調査においても、「言葉も内容も知っている」「言葉は聞いたことがある」との回答が合わせて47.7%でした。その前の、今委員ご指摘のヘルスプラン21の平成28年に行った調査では、同様に44.7%でした。これまでの取組が、僅かながらではございますが、効果があったものと考えています。しかしながら、依然として5割を切っているということから、より一層の取組が必要と考えています。
なお、COPDについては、市の健康づくり計画においても、COPDによる死亡率の減少を目標に掲げています。具体的な取組として、知識の普及啓発を推進していくこととしています。今現在、具体的に取り組んでいる内容としては、先ほどありましたように、市健康なびホームページや市のSNSにおいて情報発信を行っています。これも含めて、また今後についても、知識の普及を目指してより効果的な周知に努めてまいりたいと考えています。
次に、COPDのスクリーニングシートの活用について委員からご指摘のございました県の取組については承知しているところではございますが、本市における活用については、効果的な周知方法の一つとして活用できるものと考えていますので、今後市ホームページ等に掲載するなど、活用方法を模索してまいりたい。
○佐々木郷美 委員
ありがとうございます。周知に取り組んでいただいているとは思いますが、SNSは対象者が結構限定されていること、私も見つけたが、さいたま市の健康なびの該当ページになかなかたどり着きにくいというような面もありますので、より多くの市民の方に啓発が届くように、ぜひ工夫していただきたい。
また、先ほどお示しした質問票の方も、せっかく埼玉県が保有しているものですから、まずはホームページに掲載していただき、健診の際などの同封などを検討していただく以外に、気軽にイベントなどで活用することでも、SOPDそのものの認知度を向上させて、受診率向上につなげることができると思いますので、ぜひ前向きな検討をお願いしたい。
(2)慢性腎臓病(CKD)の予防について
慢性腎臓病、通称CKDは慢性的に進行する腎臓病の総称で、早期の自覚症状がほとんどなく、本人が気付かないうちに進行するのが特徴で、放っておくと腎不全から人工透析になる、脳卒中や心筋梗塞、心不全などの心血管病の発症率が高くなると言われております。また、患者は国内で2,000万人、20歳以上の成人の5人に1人、6人に1人がかかるなどとも言われています。人工透析の医療費は、1人年間480万円、国全体では、年間約1.6兆円と多額ですので、国保財政にも大きな影響を与え、患者のQOLの低下も招くものです。そこで、国も目標値を定めて、自治体に対策を求めていますが、現在、さいたま市がこの疾患に対する予防対策として、どのようなことを実施しているのかお尋ねします。
まず、このCKDという名称自体を聞いたことがない市民も多いかと思いますが、CKDの危険性や重病化予防の認知向上のために、現在どのようなことを行っているのか、また、今後の取組について検討されていることがあれば示してください。
○保健部長
お答えさせていただきます。CKDの認知度については、NPO法人日本腎臓病協会などが昨年実施した調査によりますと、「症状を含めてよく知っている」「病名だけは知っている」との回答が、合わせて44.6%という結果が出ています。やはりCOPDと同様、5割を切っている状況と認識しています。CKDを予防するためには、早期の受診が必要ですが、自覚症状が乏しいことから、受診につながりにくいことが課題となっています。そのため、委員御指摘のとおり、CKDの認知度を高めて、正しい知識を普及することが重要と考えており、現在、市健康なびホームページを活用した情報発信を実施しています。今後も、CKDの早期発見、早期治療につながるよう普及啓発を工夫してまいりたいと考えています。
○佐々木郷美 委員
ありがとうございます。また、同時にリスクの高い方に対する早期の受診勧奨も重要だと考えています。糖尿病が原疾患となる慢性腎臓病が一番多いということで、国が2016年、糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定したことで、県や市町村の取組が進み、全国的には、糖尿病を原疾患とする糖尿病性腎症に関しては減少傾向にあると聞いております。さいたま市では、慢性腎臓病の受診勧奨について、国民健康保険の加入者に対して、特定健診受診者向けにどのような事業を行っているかお伺いいたします。
○生活福祉部長
佐々木郷美委員のご質問の2、腎不全の早期発見と早期治療について(2)慢性腎臓病の予防についてお答えいたします。
委員ご指摘のとおり、慢性腎臓病は、進行すると腎不全になり、透析療法等に移行します。慢性腎臓病は、糖尿病とか高血圧症といった生活習慣病の重症化によるものが多く、透析導入の原因疾患として最も多いのは糖尿病性腎症となっています。
本市の取組としては、国民健康保険に加入されている方に対して、糖尿病性腎症重症化予防対策や、高血圧性疾患重症化予防対策などの生活習慣病重症化予防対策事業を行い、受診勧奨や保健指導を実施しております。未受診の方や治療を中断された方に対しては、文書と電話等で受診勧奨を行うことで、疾病の早期発見や早期受診につなげて、引き続き慢性腎臓病の重症化予防に努めてまいります。
○佐々木郷美 委員
ありがとうございます。原疾患として最も多い生活習慣病でもある糖尿病性腎症や高血圧性疾患に関しては、未受診者や治療中断者に関して、電話や文書で受診勧奨を行っていただいているということで、こちらの具体的な実績や成果をお示しいただきたい。
○生活福祉部長
佐々木郷美委員の再質問にお答えいたします。糖尿病性腎症重症化予防対策と高血圧性疾患重症化予防対策事業の受診勧奨の実績は、令和5年度の糖尿病性腎症重症化予防対策事業の未受診者が824人、治療中断者が133人でした。高血圧性疾患重症化予防対策事業において、747人の未受診者に対して受診勧奨を行っています。効果として、勧奨後の受診率を確認していますが、糖尿病事業の方については、未受診者と治療中断者を合わせて30%、高血圧事業については、26.6%が受診につながっております。
○佐々木郷美 委員
ありがとうございます。糖尿病では30%、高血圧では26%が受診につながっているということで、この数値が高いのか低いのか分かりませんが、リスクのある方にはある程度行っていただいているということが分かりました。ただし、全国的には、透析患者数の増加は、依然歯止めがかかっていないということを考えると、そもそも国民健康保険加入者の中の特定健診の受診率も、高める必要があると思われ、そのためには、先ほど申し上げたCOPDやCKDなどの見えにくい自覚症状のない病気の存在を知っていただいて、検診の受診結果を受けて、医師の受診につなげるというような動機づけにつながる啓発活動を同時に行っていかねばならないと考えます。COPDもCKDも早期発見、早期治療による重症化予防は、医療財政上の貢献もありますが、当事者の健康寿命の延伸、すなわち健康な高齢者の増加にもつながると考えますので、健康寿命の延伸を目指してというさいたま市の健康づくり計画の基本方針を実現する上でも、ぜひ対策を今後も前向きに推進していただければと思います。以上です、ありがとうございました。
※読みやすいように文意は変えず文章には若干修正を加えています。
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