○佐々木郷美 議員
立憲民主・無所属の会 さいたま市議団の佐々木郷美です。通告に従いまして、提出された議案への質疑をさせていただきます。
議案第95号「さいたま市市税条例の一部を改正する条例の制定について」
今回は国の地方税法の改正に伴って、さいたま市の市税条例の一部を改正し、脱炭素化推進事業や一体型滞在快適性等向上事業に適用される固定資産税等の特例措置を行うもので、この改正の経緯や概要について伺います。
再生可能エネルギーの活用に関しましては、ペロブスカイト太陽電池の持つ可能性について過去に私たちの会派の議員が一般質問で取り上げ、市の公共施設などでの積極的な活用の検討を提言したことがございました。今回の改正で、それら脱炭素化推進事業を重点的に促進しようと想定している地域がありますか。あればお示しください。
また、価格に3分の2又は4分の3を乗じて得た額と課税標準額が定められた根拠はどのようなもので、対象となる事業者へはどのように周知を図っていこうとされているのかお示しください。同様に、一体型滞在快適性等向上事業についても重点的に取り組む地域を想定されているのか、また、価格の2分の1という課税標準額の根拠と事業者への周知方法について伺います。
議案第97号「さいたま市介護老人保健施設・老人福祉施設グリーンヒルうらわ条例の一部を改正する等の条例の制定について」
今回の施設の廃止という判断に至った理由や経緯を伺います。いつくらいから本施設の廃止を検討されたのでしょうか。何をもって、民間事業者による介護サービスの提供体制が整ったと判断されたのか、公営民設の高齢者福祉施設としてグリーンヒルうらわが果たしてきた役割について、どのように捉えているのかお示しください。
今回の廃止の方針は、各種報道でも取り上げられ、利用者の方を中心に多くの不安や反対の声が上がっております。特にグリーンヒルうらわのケアハウスについては、施設が廃止となった場合、現在の利用者は他の施設に転居する必要がありますが、転居先の受皿は十分にあるとお考えでしょうか。また、引っ越し費用と利用料の上昇や各種手続など、心理的にも経済的にも利用者に大きな負担を強いる事態は避けられません。そのような利用者の現状に寄り添うつもりはあるのでしょうか。どのように寄り添おうとされているのか、御見解を伺います。今回、不安や反対の声が上がっている理由として、利用者に対して丁寧な説明や、方針どおり進んだ場合の移転支援など、具体的な内容が十分に示されなかったことなどはなかったのでしょうか、確認させてください。
議案第101号「さいたま市児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例等の一部を改正する条例の制定について」
国の保健師等の配置基準の変更に伴って、市においても配置基準が見直されることになり、適用までには経過措置が取られます。どれくらいの期間の経過措置を想定しておられるか、また、追加で人材を採用する等の現場での対応が必要になると考えられますが、今回のこの改正はどれくらいの施設に影響が及ぶものなのかお示しください。また、追加で必要となる保育士等の人材をどのように採用しようとされているのか聞かせてください。
○田中俊匡 財政局長
佐々木郷美議員の議案95号に対する御質疑についてお答えします。
初めに、改正の経緯、概要につきましては、議員からも御指摘いただきましたが、本年3月末の地方税法等の一部改正、いわゆる令和6年度税制改正を踏まえたもので、具体的には再生可能エネルギー発電設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置のうち、太陽光発電設備につきまして、ペロブスカイト太陽電池、または認定地域脱炭素化促進事業計画に従って取得した一定の設備を適用対象に加える等の見直しを行った上、価格に4分の3または3分の2を乗じて得た額とするものです。
また、一体型滞在快適性等向上事業につきましては、当該事業の実施主体が当該事業により整備した一定の固定資産に対して課す固定資産税及び都市計画税の課税標準について、価格に2分の1を乗じて得た額とするものです。
次に、重点的に取り組もうと想定している地域につきましては、まず太陽光発電設備について、環境局におきまして大宮、さいたま新都心を中心に促進区域とし、また一体型滞在快適性等向上事業について、都市局におきまして大宮駅周辺地区、浦和駅西口周辺地区、岩槻駅周辺地区及び美園地区の4か所を向上区域として設定しています。
次に、課税標準の特例割合の根拠でございます。まず、改正地方税法では、参酌すべき特例割合を参照して法律に定める特例割合の上限及び下限の範囲内で、市町村の条例で定める割合とされています。こうした中で環境局及び都市局において、それぞれ促進区域及び向上区域で推進する具体的な施策の効果も見極め、併せ考える必要があるということで、両局と協議の上参酌すべき特例割合としたものでございます。
最後に、事業者への周知方法でございます。税務当局では、市ホームページに掲載するほか、固定資産税の申告の手引きにも記載することにより、周知を行うこととしてございます。 また、環境局及び都市局におきましても、それぞれの施策の推進と併せて周知に努めています。
○山﨑勝 福祉局長
佐々木郷美議員の議97号に対する御質疑についてお答えいただきます。
初めに、施設の廃止決定に至った理由や経緯でございますが、平成5年に開設したグリーンヒルうらわについては、平成29年度、中規模修繕に向けた調査検討業務を実施したところでございます。当該施設は入所施設であり、休館して工事を行うことが困難であるということから、居ながら工事を実施することを前提で検討を行ったところです。約22億円の工事費と、約4年の工期を要するという結果となりました。調査結果を踏まえて関係部署と協議した結果、長期間の工事による受託事業者が見込めないということから、中規模修繕については見送らせていただき、老朽化箇所をその都度修繕しているところでございます。
また、介護保険制度開始以降、民間事業者の参入が進む中で、社会的にも整備が進んでいる状況も踏まえて、グリーンヒルうらわの存続、廃止も含めたサービス提供体制の見直しを進めてまいりました。なお、都市経営戦略会議に諮るまでの検討過程におきまして、指定管理者の法人本部と意見交換を行い、庁内での検討及び指定管理者との意見交換の結果を踏まえて、廃止の方針を導き出したものでございます。
続きまして、民間参入による介護サービス環境が整備されたと判断した根拠と、廃止した場合の受皿が十分あるかにつきましては、令和5年11月に検討を行った際の数値で、市内の介護老人保健施設は利用者数2,504人に対して整備数が2,924人と、大きく上回っております。ケアハウスにつきましても、平成13年度を最後に整備されていませんが、同様の機能を持つサービス付高齢者向け住宅及び有料老人ホームが、平成31年1万861人から、令和5年には1万3,086人と民間での整備が大幅に進んでいるところです。市内には民間ケアハウスは4施設ありますが、毎年一定程度の出入りがございます。昨年度は年間で25人の出入りを確認しています。このため、市内ケアハウスやサービス付高齢者向け住宅なども転所先として視野に入れながら、ケアハウス廃止の令和12年3月末までに転所を完了することは可能であると考えています。
次に、今まで公設グリーンヒルうらわが果たした役割と現状についてですが、グリーンヒルうらわは介護保険サービス開始以前の平成5年に、来る超高齢化社会に向けた先進的な在宅福祉の推進拠点、独居老人等の住宅困窮者対策として開設し、現在各種介護保険制度をはじめとしたサービス提供が定着するまで、その役割を担ってきたところでございます。現状につきましては、築30年が経過し老朽化が進行した施設で、事業継続に課題が生じているほか、医療人材や介護人材の確保も苦慮している状況でございます。
最後に、転居を要する利用者に対して寄り添うつもりはあるのかにつきまして、また利用者に対する説明が十分であったかにつきましては、利用者の皆様に対して、現在説明できる範囲で説明させていただきましたが、不安な気持ちにさせてしまったことにつきましては、大変申し訳ないと思っているところでございます。今回、市の廃止方針の決定につきまして、利用者の皆様が抱いている不安を一日も早く解消することが重要であると考えており、そのために一人一人に寄り添いながらそれぞれの意思をしっかりと伺い、転所に向けた支援を最後まで責任を持って行ってまいりたい。
○安部健一 子ども未来局長
佐々木郷美議員の議案第101号に対する御質疑についてお答えいたします。
初めに、経過措置の当分の間の期間でございますが、人材確保が厳しい保育現場の負担や混乱が生じないよう設定したもので、現時点で明確な期間を想定していません。国の基準におきましても、当分の間の経過措置を設けており、本市としましても市内事業者の保育士等の配置状況を勘案しながら、経過措置の期間を判断してまいりたい。
次に、配置基準の改正によって影響を受ける施設数について、市内の認可保育所及び認定こども園にて調査を行ったところ約20%の施設が新たな保育士等の採用を行う必要があるとの回答があり、全体としては、現時点でおよそ80施設に影響があると見込んでいます。
次に、本市における保育士確保の主な取組でございますが、保育士養成校を訪問し、本市の施策や保育施設の紹介等を行う保育士採用プロモーション活動や保育士養成校の学生等を対象とし、市内の保育施設を巡る保育体感ツアーを実施し、本市で働く魅力を感じていただくためのPR活動を展開しております。また、処遇改善施策として、民間保育所に勤務する常勤職員に対して、市単独の給与上乗せ補助のほか、保育士宿舎借上支援事業を実施し、保育士の雇用促進や就業継続を支援しています。
さらに、今年度から保育人材の確保、定着及び離職防止を図るため、奨学金返済費用の一部を補助する保育士奨学金返済支援事業を実施しています。加えて、このたびの配置基準の改正にあっては、国の公定価格として新たに設けられた4歳以上児配置改善加算を活用し、保育士配置に係る支援を行ってまいります。本市は、依然として保育需要が高く、これらの保育士確保施策を推進しながら、市内の保育施設の支援に努めているところでございます。引き続き保育人材の確保につながる様々な施策の強化に取り組んでまいります。
○佐々木郷美 議員
すみません、1点だけ確認させてください。グリーンヒルうらわの廃止の件ですが、方針どおりに進んだ場合の移転支援に関しては、現在のところ具体的な内容が利用者の方に示されているのでしょうか。それはこれからということになりますか。
○山﨑勝 福祉局長
佐々木議員の再質問にお答えいたします。今、利用者の方に対して説明会を3回行っています。その後に個別の相談会を施設職員が御本人と、あとは家族の方々と面接を行いながら説明を行ったところです。
〇江原大輔 議長
以上で、佐々木郷美議員の質疑は終了いたしました。
※読みやすいように文意は変えず文章には若干修正を加えています。
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