○佐々木郷美議員
立憲民主・無所属の会さいたま市議団の佐々木郷美です。
地域で暮らし活動する中で市民の皆様から感じる課題をお伺いし、それらの声を受けて2回目の一般質問に立たせていただきます。
1.子どもの育ちを見守るまちづくり
~子どもの学びの保障と選択権の尊重について~
(1)多様な居場所と学びの選択肢を
○佐々木郷美議員
日本では、学校に行くのが苦しい子どもたちが夏休み明けに増えます。学校に行けないこと自体が問題ではなく、そのことで居場所や学びの機会を失い、孤立感を深め自己否定につながってしまうことが大きな問題です。教育機会確保法の浸透で、不登校支援も社会的自立を目指す支援が中心となり、さいたま市でも不登校支援センターGrowthは登録者321名、全校に設置された校内教育支援センターSolaルームも登録者451名、数々の好事例も耳に入っており、令和8年の学びの多様化校設置にも期待が高まります。
しかし一方で、依然としてさいたま市の長期欠席者、不登校児童生徒は増加の一途をたどり、それぞれ4,000人台、2,000人台で推移しており、いまだ多くの子どもたちが居場所や支援につながらず、私の周りでも苦しんでいる御家庭はたくさんあります。そこで、子どもたちにとって居場所や学びの選択肢は多ければ多いほどよいという声を受けて、民間のフリースクールへの支援、連携について取り上げます。
今までも度々議会で取り上げてられましたが、フリースクール等の利用者、事業者へ財政支援をする自治体は増えてまいりました。ある調査によると、家庭への助成、フリースクールへの助成、そしてそのどちらも行っている自治体がこれだけあり、合わせて14の道府県と35の市町村の49の自治体になります。
さいたま市では、何らかの財政支援策を検討されているのか、市の見解をお聞かせください。また、私たちの会派の議員の質問により、さいたま市の児童生徒が利用しているフリースクールの一覧が市のホームページに掲載されました。大きな前進ですが、網羅されていないスクールもあり、これだけではそれぞれのスクールの特徴をつかみにくいのが現状です。
長野県の信州型フリースクール認証制度を会派で視察しましたが、フリースクール等民間施設を居場所支援型と学び支援型に類型化し、一定の基準を満たすものを県が認証し、支援しています。フリースクールの運営も安定し、利用者にとっても目的に応じて安心して選べる制度だと感じます。また、制度設計に当たって、有識者を座長にフリースクール運営者、不登校経験者、フリースクール卒業生、保護者など、当事者を含む検討会で何度も議論を重ねたそのプロセスも参考になると感じています。
さいたま市も、年に1回連絡協議会が開催され、教育委員会とフリースクール運営者が意見交換していますが、保護者やフリースクール卒業生をはじめ、不登校経験者など当事者を交えて、よりオープンで開かれた話合いの場を設けながら、不登校児童生徒の支援を官民連携でより充実させていく体制づくりをお願いしたいので、市の見解をお聞かせください。
そして少し視点を変えて、フリースクール以外に、通う学校を変える転校という選択肢についてもお尋ねします。いじめや不登校などを理由に、指定校以外の学校に転校できる仕組みはあるのでしょうか。あるとすれば、保護者はそのことをどこで知ることができるでしょうか。そのような形の転校が救いになるお子さんもいると思いますが、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
○栗原章浩副教育長
佐々木郷美議員の御質問の1、子どもの育ちを見守るまちづくり、子どもの学びの保障と選択権の尊重について (1)多様な居場所と学びの選択肢についてお答えいたします。
議員御紹介のとおり、本市では校内教育支援センターSolaルーム、教育支援センター、不登校等児童生徒支援センターGrowthなど、多様な学びの場の充実に尽力しているところでございます。あわせて、令和8年4月の学びの多様化学校開校に向けて準備を進めています。教育委員会としては、このような公教育としての施策に全力で取り組んでいるところです。
一方で、民間のフリースクール等を利用することで、学びへのつながりが保たれている児童生徒がいることも承知しています。議員御提案のフリースクールの利用者や事業者に対して助成金を支払う仕組みは本市には現在ございませんが、先ほど触れさせていただきましたとおり、現在公教育の中での選択肢を増やすことに全力で取り組んでいる状況でございます。将来的な検討課題として、他自治体の取組みなどについて情報収集に努めてまいりたい。
また、フリースクール等との連携において、不登校経験者や保護者の意見を取り入れることについて、現在教育委員会では、教育支援センターや不登校児童生徒支援センターGrowthにおいて、保護者を対象とした子育て講座を開催したり、不登校を経験した学生の体験談を聞く機会を設けたりしています。このような場や、アンケート等いただいた御意見をフリースクール等連絡協議会の場で積極的に取り上げることで、よりよい支援の在り方について議論を深めてまいります。あわせて、議員よりいただいた御意見を基に、連絡協議会に保護者が参加できる仕組みづくりについて検討してまいります。
次に、児童生徒の転校について、児童生徒本人や保護者が転校を希望する場合、学校では教育委員会と連携し、児童生徒本人や保護者への聞き取り等を行い、教育的配慮による転校が当該児童生徒にとって適切であるのか判断しています。教育委員会では、その判断に基づいて指定校の変更を行っています。なお、教育的配慮による指定校の変更については、就学指定校変更・区域外就学許可基準を定めており、さいたま市のホームページで掲載しているところです。
教育委員会としては、このような取組について保護者の皆様に積極的に発信するとともに、関係所管とともに連携を取りながら、子どもたちの多様な居場所と学びの選択肢の幅を広げられるよう努めてまいります。
○佐々木郷美議員
当事者の声を積極的に聞いていくということで、ありがとうございます。
例えば東京都では、令和5年度フリースクール利用者に、不登校支援についての調査協力依頼ということで、協力費という形で月2万円を上限に支払う仕組みをつくってきたそうです。学びの多様化校の設立に向けて、このような形も例えば取り組みやすいと思います。引き続き研究、検討をお願いいたします。
また、転校についても、子どもたちが今の環境は変えられない、もう逃げられないというような固定概念からはぜひ解放されてほしいと願っています。一方、フリースクールや転校という選択肢を学校の先生から保護者の方に勧めることは、場合によっては、関係性によっては突き放した無責任な印象を与え、信頼関係を損ないかねません。そのため、保護者が自分で情報にたどり着ける環境をぜひ整えていただきたい、と同時に学校から離れた立場で本人や保護者の方に寄り添い支えられる相談先があればいいと感じます。そこで、(2)教育委員会と市長部局との連携について。
(2)教育委員会と市長部局との連携について
○佐々木郷美議員
不登校やいじめは、生活困窮、発達上の特性や学習の困難さなど、他の課題を抱える児童生徒も多いため、学校外の地域の居場所で関わる大人が子どもたちのニーズを感じ取り、子どもたちがより広い選択肢から様々なものを選ぶよう関係者間がチームワークで支援することが望ましいと考えます。教育委員会と市長部局との連携について、市の見解を求めます。
○山﨑勝福祉局長
佐々木郷美議員の御質問の1、子どもの育ちを見守るまちづくり~子どもの学びの保障と選択権の尊重について~(2)教育委員会と市長部局の連携についてお答えします。
近年、地域のつながりの希薄化や少子化の進展など、子どもを取り巻く環境は大きく変化しております。様々な悩みや課題を抱える子どもにとって、安全で安心して過ごせる居場所の存在や、支援する側が分野横断的に広く集まり、子どもに寄り添った支援を行うことは大変重要であると認識しています。
本市では、生活困窮世帯の貧困の連鎖の防止を目的として、全国に先駆け平成24年度から学習支援事業を実施し、学習の支援や居場所の提供、生活習慣の改善支援等を行ってきたところです。この教室では、教員資格をはじめ、様々な経験を有する支援員が関係機関と連携しながら、その知見を生かし、子どもの抱える課題やニーズを多角的に捉え、本人に合った支援を行っています。
また、学校と市長部局の連携につきましては、小学校の校長やスクールソーシャルワーカーに対して、会議等の場で事業の説明を行い、不登校などの子どもが必要な支援につながるよう働きかけるとともに、学習支援教室での子どもの様子を共有するなど、緊密に連携を図っているところです。さらに、令和5年度から福祉局、子ども未来局及び教育委員会の3部局から構成される支援の必要な子どもに係る連携強化ミーティングを定期的に開催し、各局が所管する支援施策に関する意見交換や情報共有を行っているところです。今後につきましても、教育委員会と市長部局が連携して、子どもたちを誰一人取り残さず、課題のある子を早期発見して確実に支援につなげるとともに、子どもの悩みに寄り添いながら一人一人に支援を行ってまいります。
○佐々木郷美議員
先ほど紹介した長野県の信州型フリースクール認証制度は、ひきこもり支援や自殺防止対策を担当する部局が主管しており、教育委員会と連携して、学校の内外から新しい学びの形を模索するとしています。さいたま市でも、部局を超えて全庁を挙げて、またフリースクールなどの民間事業者も巻き込んで、官民連携で学び合い、補い合いながら、さいたま市版の誰もが取り残されない子ども真ん中の不登校児童生徒の支援施策を進めていただきたいと思います。 次に進みます。
2.市民参画でつくるまち
~みんなの声でつくる公園について~
(1) 住民参画でつくる身近な公園について
○佐々木郷美議員
さいたま市は、1人当たりの都市公園面積が5.05平方メートル、都市公園条例で目標に掲げている10平方メートルには程遠く、子育て世代の人口増加が続く中、公園の新設ニーズが高いと思われます。一方、同じ地域に住む住民でも、ライフスタイルや価値観が様々で、公園に求めるものも多様化しているため、合意形成のプロセスが大切です。慎重な意見に配慮すると禁止事項が多く特徴のない公園になり、逆はトラブルの絶えない公園になってしまいます。得てして、どちらかになりがちです。
先日、会派のメンバーと視察に行った戸田市では、身近な公園の新設、リニューアルに際して、2回から3回のワークショップを開催し、子どもたちを含めた近隣住民が公園づくりに主体的に参加していました。こちらは一つの例で、六、七年前にできた公園ですが、木製遊具が子どもたちの声で設置され、子どもたちに思いっ切り遊んでほしいとのメッセージが刻まれました。一時期このような公園の大型遊具は、老朽化を理由にさいたま市ではかなり撤去されてしまいましたが、このように市民の声で設置していくと大切に活用され、公園のシンボルにもなり得るのではないかと思います。ほかにも、最近では防球ネットを張ったボール遊びスペースを開閉式で設置して、昼間はグラウンドゴルフ、夕方以降はミニバスケットのコートに使い分けるような公園も新設されているそうです。
さいたま市では、公園のデザインについて自治会向けの説明会が行われていると思いますが、そこに参加できないサイレントマジョリティーに当たる公園を活用する子どもたちや新しく転居してこられた方々など、幅広く声を聞き、反映してつくる仕組みをどのように実現してきたのか、お示しください。
○佐藤久弥都市局長
佐々木郷美議員の御質問の2、市民参加でつくるまち、みんなの声でつくる公園について(1)住民参画でつくる身近な公園についてお答えいたします。
本市としては、令和4年10月、国土交通省の都市公園の柔軟な管理運営のあり方に関する検討会提言で示された地域の価値を高め続ける「使われ活きる公園」の実現を目指しており、地元のニーズに合わせた公園づくりが重要であると認識しています。
広く意見を聞くことに関しては、これまでの取組として公園を整備する際には、地元自治会や近隣住民を中心に意見交換し、広く意見聴取を行っており、また意見交換以外にもワークショップ等による地元の意見聴取も行っています。その他、多様な利用団体が多く活動している別所沼公園では、今後の公園整備に地元自治会や利用者の意見を反映するため協議会を設立し、定期的に意見交換を行っています。同様に、規模が大きく利用者が多い岩槻文化公園や三橋総合公園などでは、指定管理者が中心となり、公園整備に施設利用者等の意見を反映するため、連絡協議会を開催しています。
今後も、市民をはじめ様々な利用者に公園整備への関心を高めていただけるよう手法を検討し、広く意見を聞いて本市が目指す公園づくりに生かしてまいりたいと思います。
○佐々木郷美議員
ありがとうございます。ワークショップなどを実施して、丁寧につくられている公園がないわけではないかと思いますが、まだまだ限定的だと思いますので、より身近な小さな公園でも、また既存の公園をリニューアルするという際にも計画的に市民参加を促し、個性ある公園整備をお願いしたい。
(2)公園の機能、価値を高める活用について
○佐々木郷美議員
また、公園を使い尽くすという言葉がありましたが、民間事業者や市民団体を巻き込んでイベントを開催し、今まで禁止されがちだった火気の使用や車両の乗り入れなど、その日だけルールを緩和して、公園で市民交流の場をつくっている自治体もあります。さいたま市は、それらをどの程度行っているのか教えてください。
○佐藤久弥都市局長
佐々木郷美議員の御質問の(2)市民参画でつくるまち、みんなの声でつくる公園について(2)公園の機能、価値を高める活用についてお答えいたします。
まず、民間事業者との連携について。本市では民間事業者の創意工夫を取り入れ、にぎわいを創出するため、Park-PFI制度を活用した公園整備や指定管理者制度を導入して公園管理を行っています。Park-PFI事業においては、開園前の段階からイベントなどを行い、公園に親しみを持ってもらえる取組を実施しています。
また、指定管理者の自主事業においては、キッチンカーやマルシェの開催など、公園利用者の利便性向上のための取組のほか、花火やバーベキューができるスペースの開放など、公園の楽しみ方を広げるための取組を実施しています。なお、指定管理者の裁量による許可において、地域のお祭りなどで公園を活用できる取組を行っています。
次に、市民団体との連携については、プレイパークの実施団体と協定を締結し、別所沼公園で週2回、通年開催しています。また、令和4年、5年度には、市民局、子ども未来局と連携し、さいたまマッチングファンド助成を活用した移動型プレイパークを3か所の公園で開催いたしました。今後も引き続き、民間事業者や市民団体と連携を深めることで公園の楽しみ方を広げ、公園機能を高め、まちの活力やにぎわい創出につながる取組を実施してまいります。
○佐々木郷美議員
さいたま市は都市公園が1,000以上あり、その中の数か所でもそのような場があるということは、ありがたいと思うのですが、知らない市民の方も多く、利用できる市民は限られているというレベルだと思いますので、周知とともに少しずつ取組を広げていただけるようにお願いいたします。次に移ります。
3.緑豊かな自然環境を保全するまちづくり
~グリーンインフラ活用の一環として~
(1)グリーンインフラとしての見沼田圃の保全・活用について
○佐々木郷美議員
さいたま市緑の基本- 33 -計画に示されているとおり、さいたま市ではグリーンインフラとして緑地の機能に注目し、その機能、価値を高め活用しようとする取組が進められています。とりわけさいたま市は、巨大な緑地空間、見沼田圃を有し、それらが果たしてきた治水、防水機能、温室効果ガスの吸収など多様な機能を考えると、グリーンインフラとしての保全、活用が非常に重要であると思います。
一方、見沼田圃では農地も耕作放棄地となり、特定外来種が繁茂して資材置場になり、残土が運び込まれたりして荒れ地化していることも問題です。現在さいたま市が見沼田圃の保全、活用でどのような取組を行っているのか、今後の計画を含めてお示しください。
○清水勇人市長
佐々木郷美議員の御質問の3、緑豊かな自然環境を保全するまちづくり~グリーンインフラ活用の一環として~(1)グリーンインフラとしての見沼田圃の保全・活用について
お答えします。
見沼田圃は、首都圏有数の大規模緑地空間であり、良好な景観の形成や農地としての活用、多様な生物の生息拠点などの様々な価値とともに、治水をはじめとするグリーンインフラとしての多様な機能を有する本市の貴重な資源であると思います。そのため、本市では埼玉県が策定した見沼田圃の基本方針を1つの軸として、平成23年に見沼田圃基本計画を策定し、これに基づき耕作者や来訪者などの多様な主体が連携しながら、見沼田圃を活用しながら守っていくための取組を進めています。
議員御指摘の農地の荒れ地化などの課題解決に向けましては、本市が策定した緑の基本計画の中でグリーンインフラの機能を9つ位置づけており、そのうち温室効果ガスの吸収と生物の生息・生育の場の提供の機能に着目して、先行的なプロジェクトに着手したところです。
具体的には、本年2月に埼玉大学や民間企業と協定を締結して、県が公有地化した遊休農地を活用して温室効果ガス吸収に関する実証実験を行っています。また、市民団体や民間企業と連携し、遊休農地を活用して生物多様性の維持、回復に関する実証実験も行っており、今後はこれらの実証実験の効果や成果についてしっかりと検証、分析し、事業化への展開を目指してまいりたいと思います。
本市としても、見沼田圃など自然環境が有する多様なグリーンインフラの機能を最大限活用して、持続可能で魅力あるまちづくりを目指していきたいと思います。
○佐々木郷美議員
実証実験の結果をしっかりと見える形にして、積極的に広く発信していただくようお願いいたします。
(2)さいたま市内の新規就農者の支援について
①農地等を求める人とのマッチング
○佐々木郷美議員
令和5年度は、新規就農者21名のうち農業未経験、つまり他業種からの就農者が19名だったと伺っています。農業の後継者不足が深刻な中、希望となる傾向だと思います。しかし、まず農地を借りるところから難しいという問題に直面します。市では、貸付け意向に出ている農地をホームページで公開し、埼玉県の中間管理機構とも連携して農地とのマッチングを行っていますが、実際に出てくるところは条件が悪く、マッチングは難しいと聞いています。現状認識をお聞かせください。
また、このマッチングの成功率をどのように高めようとしているのかお示しください。
○金子芳久経済局長
佐々木郷美議員の御質問の3.緑豊かな自然環境を保全するまちづくり~グリーンインフラ活用事業の一環として~(2)さいたま市内の新規就農者の支援について
①農地等を求める人とのマッチングについてお答えします。
本市では、将来にわたり持続可能な農業を目指し、新規就農者等の農業の担い手育成及び確保やその農業経営の安定化に向けた支援を行っています。農地等を求める人とのマッチングについて、市では農地所有者より貸付意向のある農地の情報を収集し、ホームページに一覧として掲載し、借受け意向のある農業者への情報提供を行う、さいたま市農地マッチング制度を実施しています。
また、就農希望者からの就農に当たり必要となる様々な相談に対応できるよう、埼玉県、農業委員会、JAと連携したワンストップ就農相談窓口を設置しており、就農に必要な手続、資金調達等に加え、相談者の就農希望地、周辺の農地情報の提供等を行っていますので、さらなる制度の活用に向け新規就農者へ積極的にあっせんを行うとともに、地域の農業委員及び市内JAとの連携により、担い手に対して情報提供を行いながらマッチングの推進を図ってまいります。
○佐々木郷美議員
恐らく現地に赴いていただいて関係者の方々と関係を築くなど、地道な取組が必要なことだと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
また、農地以外に、農機具や倉庫、作業場、それらが住居と同じ敷地にある農家住宅なども必要にはなります。後継者であれば親の代から引き継ぐことができますが、新規参入の場合は、そのどれもないケースがほとんどです。離農し、耕作放棄する方が多い中、必要な方が必要なものを入手できるサポートを行政が現状ではどの程度なさっているのかお示しください。
○金子芳久経済局長
佐々木郷美議員の再質問にお答えいたします。
地域では、離農などにより使われなくなった農機具や農業用倉庫の情報を、農業委員会や市内JAなどと連携して収集していることから、新規就農者から相談があった場合には、適宜情報提供に努めることで、新規就農者が活用できるようなマッチングの支援を図ってまいります。
○佐々木郷美議員
よろしくお願いいたします。恐らく農家住宅等はなかなかハードルが高いと思いますが、県内の市町村では、空き家バンクのような仕組みを持っているところもあり、また海外、イギリスなどでは文化財や自然保護の観点から、農地や農家住宅を保全する動きもあるとのことです。ぜひ御検討いただきたいと思います。次に進みます。
②新規就農者への経営支援、農機具費用の補助等
○佐々木郷美議員
また、新規就農者がぶつかる壁として、農機具等の初期投資が大変高額であることがあります。新規就農者向けの経営支援についてお尋ねいたします。
さいたま市は、クボタのトラクター等の農業機具のシェアリング事業を本年4月に始め、新規就農者からはとてもありがたい制度だと好評です。クボタの中でも稼働率が非常に高く、好感触だということです。ただし、1時間当たり4,000円以上の使用料がかかるため、農機具の扱いに慣れていない新規就農者が作業を短時間で終わらせようと焦って作業するため、使い方を間違えてぶつけたり、破損したりという事態が発生しているそうです。このような農業現場での事故は、けがや最悪の場合、命を落とすことにもつながりかねません。
神戸市やつくばみらい市は、同様の農機具のシェアリング事業において、使用料の半額を市が補助しています。さいたま市も新規就農者が安心して使っていただくためにも、同様の補助金を導入いただきたいと思います。見解をお示しください。
○金子芳久経済局長
佐々木郷美議員の御質問の3.緑豊かな自然環境を保全するまちづくり~グリーンインフラ活用事業の一環として~(2)さいたま市内の新規就農者の支援について
②新規就農者への経営支援、農機具費用の補助等についてお答えいたします。
先ほどお話がございました農業機械の導入や機械の保管スペースの確保が課題となっていることから、新たな取組として、令和6年2月に株式会社クボタと連携協定を締結いたしまして、同社の農業機械シェアリングサービスを推進しています。本サービスでは、会員登録した利用者の方々は機械操作の講習を受けることができ、初めての方でもトラクターや草刈り機、マルチャー等の農業機械を安心して利用できるようになっています。
今後も、新規就農者に対してさらなる支援の充実を図りながら、農業担い手の確保と育成、それから農業経営の安定化に資する有効な支援を実施してまいりたい。また、クボタのシェアリングサービスの補助等につきましては、利用状況を見ながら研究させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○佐々木郷美議員
1点再質問させていただきます。
こちらのクボタの農機具のシェアリングサービスが非常に好評であるということで、人数からすると1か所では十分でなく、市の他の場所にも展開していくことでさらなる担い手育成につながると思いますが、今後新たに展開していく計画はあるのか、御見解を伺います。
○金子芳久経済局長
佐々木郷美議員の再質問にお答えさせていただきます。
現在農業機械シェアリングサービスを行っている株式会社クボタからは、新規就農者の利用登録は順調に増加していると伺っており、農業機械の種類を増やし、サービスの充実を図っていると伺っています。株式会社クボタへの市内の設置場所の増設依頼や利用者の使用料の補助につきましては、利用状況や利用者の要望を踏まえて、検討させていただきたいと思います。
○佐々木郷美議員
具体的な支援につながる施策だと思いますのでぜひよろしくお願いいたします。
では、次に進みます。
4.困ったときにケアされる安心・安全なまちづくり
~災害への備えについて~
(1)避難所におけるプライバシー確保について
○佐々木郷美議員
今年は、年始に能登半島地震があり、また南海トラフをはじめとする巨大地震のリスクや、最近の気候変動による災害の頻発化を考えると、いつどこで被災してもおかしくない災害への備えの重要性を感じます。そんな中、日本の避難所の在り方は、国際基準を大きく下回ると言われています。災害や紛争での被災者への人道支援活動の国際的な最低基準を定めたスフィア基準では、トイレの数は20人に1つ、男女比は男性1に対して女性3、1人当たりの居住スペースは3.5平方メートル、畳2畳分などと具体的に定められています。日本でも、避難所だから我慢するのは当たり前という意識を改めて、避難者にも尊厳があり、そこでの生活の質を求めていく権利がある。そして、自治体行政にもそれらを守っていく責務があると意識を変えていくことが災害関連死を防ぎ、一日も早い生活再建につながると思います。
そこで、まず避難所でのプライバシー確保を取り上げますが、さいたま市の現状は、市内260か所の指定避難所に対してパーティションは1,000、つまり1避難所当たり4個程度、段ボールベッドは200個、つまり避難所当たり1個行き渡るかどうかの備蓄しかないのが現状です。他市からのプッシュ型支援を想定していると思われますが、避難所開設と同時にそこで夜を明かす人がいるであろうことを考えると、これはあまりにも不十分ではないかと思います。空き教室がある学校もあり、保管場所も相談の余地があるのではないかと思います。
こちら↑は、少し前によく報道で目にしたカーテン型のパーティションで、もう一つこちら↓は市川市から提供いただきましたが、高さの低いパーティションではなく、このように家族単位で利用できるテントを備蓄する自治体が増えてきました。
畳めば保管に場所も取らず、段ボールよりも耐久性も優れています。相模原市も同様のテントで、感染症対策の観点で屋根もついているものを備え、ベッドも低価格で、空気入れで子供でも簡単に膨らますことのできるエアベッドを避難所当たり30個程度備えているとのことです。数の充実とともに、様々な機能、素材、価格のものが出ていて、それぞれメリット、デメリットはあると思いますので、比較検討し、改善いただきたいと思いますが、御見解を伺います。
○髙橋一誌総務局長
佐々木郷美議員の御質問の4、困ったときにケアされる安心・安全なまちづくり、災害への備えについて、(1)避難所におけるプライバシーの確保についてお答えいたします。
本市では、プライバシーの確保に必要な品目として、段ボールベッド等の簡易ベッドを200台、パーティション1,000張りを備蓄しており、災害時には必要に応じて拠点備蓄倉庫から各避難所に配備することとしています。また、避難所での生活が長期化する際には、段ボールベッドやパーティションなどを国からの支援や民間企業との災害協定により調達することとしております。
このような状況での課題としては、本市での備蓄数が十分でないこと、また発災してから各避難所へ配備するため、避難所開設当初には避難されてきた多くの皆様に対して行き渡る数量が御用意できないことが挙げられます。拠点備蓄倉庫で保管している備蓄品を避難所の防災倉庫で保管できないかということも検討していますが、近年の備蓄品の増加に伴いまして、避難所の防災倉庫内のスペースが不足してきておりまして、現状は困難であるものと思います。
引き続き、避難所での生活環境の向上には、避難者のプライバシーを確保することが重要であるとの認識の下進めてまいりますが、まずは要配慮者への対応が充実するよう、段ボールベッド等の備蓄物資の機能、素材等を比較検討もした上で、備蓄数量を増やすことに取り組んでまいりたいと思います。
○佐々木郷美議員
ありがとうございます。避難所は、一時的であっても生活の場になるわけなので、生活できるイメージができなければならないと思います。その辺りも含めて御検討をお願いいたします。
(2) 中学生の避難所運営訓練への参加について
○佐々木郷美議員
こちらは、最近の委員会で私たちの会派のメンバーも取り上げましたが、昼間に発災した際、高校生や大人は学校や勤務先におり、場合によっては帰宅困難者になりますので、地域にいるのは高齢者と小中学生となります。特に中学生は、避難所運営において大きな力になると思います。避難所運営訓練への中学生の参加人数は年々増加していると伺っていますが、参加校にはばらつきがあり、一部の学校では避難所運営訓練の日が定期テストの前の週末と重なり、参加したくてもしにくい状態がありました。どのように避難所運営訓練の日程は調整されているのかお聞かせください。また、参加者数も、数名の学校から100名以上参加する学校までばらつきがあります。中学生がどのように避難所運営訓練に参加してきたのか教えてください。
○髙橋一誌総務局長
佐々木郷美議員の御質問の4、困ったときにケアされる安心・安全なまちづくり、災害への備えについて、(2)避難所運営訓練への中学生の参加についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、日中に発災した際に地域に残っている方は、高齢者や小中学生が多いことが想定され、そのような状況においては、避難所では中学生が大きな力になるものと認識しています。中学生の避難所運営訓練の参加者数は年々増加傾向にあり、訓練への参加を通じて集団の中での助け合い、地域に貢献しようとする大切な意識が高まっているものと思います。しかしながら、一部の避難所におきましては、訓練の実施日と学校の試験期間が重なるなど、日程の都合により中学生が訓練に参加をしにくい状況にもなっています。そのため、このような学校側の状況につきましては、訓練を主催する各区役所と情報を共有いたしまして、避難所運営委員会と調整した上で訓練の日程を決定することとしています。
次に、中学生の参加方法につきましては、総合的な学習の時間を活用して参加している事例や、学校が全校生徒に呼びかけて希望者を募集して参加している事例などがございます。このうち、総合的な学習の時間を活用した事例においては、中学生が複数のグループに分かれアルファ米の炊き出し訓練やトイレの設置訓練などに取り組み、避難所運営における食料班や環境班などの役割を担っていただいたところです。
また、中学生の訓練参加促進の取組につきましては、中学校の校長会において、中学生が地域防災へ関わることの重要性を踏まえ、避難所運営訓練への参加について説明を行うとともに、全ての中学校へ生徒の訓練参加を依頼しています。今後も、学校や関係部局と連携しながら、多くの中学生に訓練へ参加いただけるよう取り組んでまいりたい。
○帆足和之議長
以上で、佐々木郷美議員の質問は終了いたしました。
※読みやすいように文意は変えず文章には若干修正を加えています。
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