令和7年2月17日(月) 保健福祉委員会 佐々木郷美 議案外質問~高次脳機能障害者(児)への支援、里親・養子縁組家庭への支援について~
- satomisasakims
- 3月9日
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更新日:3月12日


1 高次脳機能障害(児)への支援について
(1)高次脳機能障害支援に必要な人材の養成と活用について
(2)高次脳機能障害支援における医療と福祉の連携について
○佐々木郷美委員
立憲民主・無所属の会の佐々木郷美でございます。通告に従いまして議案外質問をさせていただきます。1番、高次脳機能障害者(児)への支援について。
交通事故などによる脳外傷や脳梗塞、脳内出血などが原因で記憶、言語、感情などのコントロールが難しくなる高次脳機能障害は外から見えにくい中途障害で、人によって症状も様々、介護と障害福祉の制度のはざまで苦しんでいる方が多くいらっしゃいます。
昨年9月定例会にて、我が会派の高柳議員が代表質問にて、第2号被保険者で高次脳機能障害になった方々の社会復帰を促すべく積極的な機能訓練を実施できる事業者を市内に増やすために、市から県に養成者研修の実施要望をと提案し、さっそく埼玉県では高次脳機能障害支援養成研修が1月と2月に実施され、定員は各事業者から1名ずつ、50名ほどの定員枠であったと認識しております。
(1)この研修にさいたま市から何名、幾つの事業者が参加されていたのかお尋ねいたします。また、この研修は高次脳機能障害支援体制加算の算定条件であり、対象には就労支援、就労移行支援事業者だけでなく障害児相談支援事業者も含まれます。中でも、18歳未満のお子さんが高次脳機能障害になった場合、今まで出来たことが出来なくなる喪失感から自己否定が強まり、周囲との関係構築が難しくなって、ひきこもりや不登校になってしまったり、復学や進路選択の未来が描けなくなってしまったりと、大人とは異なる問題を数多く抱えることになります。
そのような高次脳機能障害児やご家族の相談に応じる立場の障害児相談支援事業者が、何事業者、本研修に参加していたのかお示しください。さらに、それら加算対象となって支援体制が整う事業者を必要としている当事者がきちんと活用できる体制をどのように整えられるのかお尋ねいたします。
○障害福祉部長
佐々木郷美委員のご質問の1、高次脳機能障害者(児)への支援について、(1)高次脳機能障害支援に必要な人材の養成と活用についてお答えいたします。
まず、埼玉県が実施した令和6年度 埼玉県高次脳機能障害支援養成研修についてでございますが、令和7年1月30日、31日に基礎研修が開催されまして、市内の参加事業所数は11事業所から11名、そのうち障害児相談支援事業を実施している事業所は4事業所から4名でございます。
(2)に移ります。また、事業所情報の高次脳機能障害のある方への周知につきましては、埼玉県が事業所一覧をホームページに掲載する予定となっておりますが、本市においてもホームページ等で周知するほか、高次脳機能障害のある方の相談があった際にその方に合った事業所を案内するなど、適切な周知に努めてまいります。
○佐々木郷美委員
ありがとうございます。本来は、高次脳機能障害者(児)の方が病院から退院して地域生活に移る際に、その前に高齢の方が必要な介護保険サービスにつながるように障害福祉サービスにつながれると良いと思いますが、現状そのようにはなっていません。その現状をどのように受け止め、現在どう対策され、また今後どうしようとお考えなのかお示しください。
○障害福祉部長
次に、(2)高次脳機能障害支援における医療と福祉の連携についてお答えいたします。委員ご指摘のとおり、高次脳機能障害のある方が退院時においてケアマネジャー等を通じまして介護保険サービスにつながっている一方で、障害福祉サービスについては十分な情報提供がなされずに必要な支援につながっていない方がいらっしゃることは認識しております。そこで、本市では、障害者更生相談センター内に高次脳機能障害者支援センターを設置し、医療、障害福祉、介護、教育など幅広い支援者を対象に高次脳機能障害に関する冊子の配布を行っているほか、研修やネットワークづくりを実施しているところでございます。
今後は、こうした支援者に対し障害福祉サービスのさらなる周知を行うため、支援者が集まる機会を捉え積極的に高次脳機能障害に関する研修を行うとともに、いつでも実行できる研修動画の配信などを行ってまいりたいと考えております。
○佐々木郷美委員
ありがとうございます。今おっしゃっていただいた、まさに他業種連携だと思いますが、中でも介護との連携で、40、50代の第2号被保険者は退院時に一時的に介護サービスにつながり、後日ケースワーカーさんが必要を見極めて障害福祉サービスにさらにつなげる、そんな流れがあるとよいと感じます。それが、ケースワーカーさんの知識やアンテナの感度に依存しないように、例えばこちらは東入間地区の入退院連携ガイドですが、第2号被保険者や福祉との連携も想定した仕様になっています。現在、さいたま市ではこのような啓蒙雑誌を作り、研修も行ってくださっていますが、退院時のように実務に落とし込む流れをぜひ作っっていただきたいと思います。こちらは要望でとどめたいと思います。
また、1点再質問ですが、福祉と教育の連携についてです。先ほど述べたとおり、高次脳機能障害児やその家族には特化したケアや支援が必要だと感じます。小児科や教育機関に知識が浸透していないので、適切な支援や必要な心のケアが得られなくて、学ぶ意欲があっても学べる環境にないお子さんが多くいらっしゃいます。そのような高次脳機能障害児の復学、就学支援や障害特性を踏まえた子育て支援をするためには、更生相談センターだけではなく、教育委員会をはじめとする関係機関とも連携した施策の必要性を感じますが、見解を伺います。
○障害福祉部長
お答えいたします。委員ご指摘のとおり、お子さんの支援に関わる方へのやはり支援といいますか、協力といいますか、そういった情報提供は大変重要だと考えておりまして、例えば学校の先生なんかにもそういった高次脳機能障害などの説明をする機会は今も持っているところもありますが、今後そういった機会をさらに増やして、さらなる支援の充実に努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木郷美委員
ありがとうございます。高次脳機能障害、本人も周りも気づきにくいという部分もあります。現在、高次脳機能障害を知ってくださいと啓発していただいていますが、その前段階で、埼玉県が用意しているように、あなたのお子さんはもしかして高次脳機能障害かもしれませんと、疑って気づくところから受診や診断に促す、そのような啓発も必要だと思います。そのようなアプローチもぜひ検討いただきたいと思います。ご見解を伺います。
○障害福祉部長
お答えいたします。委員ご指摘のとおり、いろいろな部分、角度からの支援というのが必要だと思っておりまして、この私どもの高次脳機能障害支援センター、実は令和元年5月に大宮区役所設立と同時に必要性を感じ、配置した次第ですが、まだ年月も新しく、今後さらなる充実が必要だと考えておりますので、いろいろなことをまた研究させていただきながら周知に努めてまいりたいと考えております。
○佐々木郷美委員
引き続き、他業種を巻き込みながら、ともに取り組んでいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
2 里親・養子縁組家庭への支援について
(1)里親・里子への配慮・支援について
(2)養子縁組家庭のフォロー体制について
〇佐々木郷美委員
では、2番、里親・養子縁組家庭への支援について、移ります。さいたま市は、里親委託率が高い一方、里親制度への社会的理解が進んでいないため、日々大変な苦労をしている里親、里子の方が非常に多くいらっしゃいます。例えば、さいたま市では市内で保護され市内で措置されるので、多くの実母が市内在住で里子のプライバシーへの配慮が非常に重要です。その点、里子の身分証明書代わりで病院を受診する際に保険証代わりとなる受診券が通常の保険証とは全く異なるサイズ、形状で、しかも里子とは、里親とは異なる苗字の里子の本名が記載されるので、小児科受診時に本名を呼ばれると家元に戻されるのではないかと恐れ、トラウマになる里子さんも多いと聞きます。
また、母子手帳も生母さんが特定妊婦で妊娠時や出産時の記録が無記載のこともあり、医療機関によっては、特に乳幼児の場合、生母の既往歴が分からないと妥当な診断ができないとの理由で受診を拒否されたり、また仮に記載があっても途中まで生母が直筆で記入をされている記録にその後、生育記録を追記しにくく感じる里親さんもいらっしゃいます。そこに、なぜ白紙なのですか、抜けているのですか、今すぐ記入してくださいなどと言われて心理的に追い込まれることがあります。その辺り、医療機関で必要な配慮についてどう対応していらっしゃるかお示しください。
○子ども家庭総合センター所長
佐々木郷美委員ご質問の2、里親・養子縁組家庭への支援について、(1)里親・里子への配慮・支援についてお答えいたします。
医療機関を受診する際に提示する受診券への配慮につきましては、令和7年3月1日より一般的な健康保険証と同じ名刺サイズに変更を予定しております。また、里親が希望する場合には里親の氏で呼出しができるよう、実名と併せて里親の氏と里子の名を組み合わせた氏名を記載できるようにいたしました。
また、母子手帳に記載がなく、その理由を里親が問われるような場合についてでございますが、里子が里親に委託されるまでの経過については児童相談所が可能な限り実親等から聞き取りをし、里親に伝えております。里親に母子手帳を渡す際に、医療機関等で空白である理由について問われることがあるかもしれないため、事前に里親子であることを周知するなど助言いたしております。
○佐々木郷美委員
カードの仕様変更、歓迎いたします。そのような児童相談所から措置のあった児童の受診について、小児科医師会などで勉強会を開催している自治体もあるようです。このカードの仕様変更はとてもよい機会だと思いますので、母子手帳の扱いを含めてさいたま市でもそのような機会を持っていただけるように働きかけをお願いいたします。
また、支援についてですが、慣れない子育てに疲れた際、里子を一時的に預けて休息できるレスパイトケアの制度がありますが、里親何名中、年間どれくらいの方が活用されているのかお示しください。
○子ども家庭総合センター所長
お答えいたします。レスパイトケアの利用件数についてでございますけれども、さいたま市の里親登録数が、自宅里親組数が令和5年度末で62組、令和6年度は令和7年1月31日時点で85組ございます中で、利用件数につきましては令和5年度が14組、延べ44件、令和6年度は令和7年1月31日現在で17組、延べ26件となっております。
○佐々木郷美委員
ありがとうございます。制度はあるが、利用すると里親として資質が低いと判断されて措置変更になると考えて利用を躊躇する里親さんが多いということも聞いております。ぜひ、里親さんが使いやすいお声がけを児童相談所や保健師さんからお願いしたいと思います。
2番、(2)に行きます。養子縁組家庭のフォロー体制についてですが、監護期間を経て養子縁組が成立すると措置解除となるので、里親の時にあった養育費や手当もなく、里親サロンのような横のつながりやレスパイトケア等の支援制度もなく、公営的支援がない状態となります。一方、養子縁組形成後も愛着形成に悩んだり、当初分からなかった発達上の課題が後から表われて育てにくさに悩んだり、出自の真実告知や思春期のアイデンティティーが揺らいだりなどの悩みが生じ、養子が成人してからも結婚、出産などの課題もあり、長期的に養子縁組家庭だからこそぶつかる壁が数多くあり、両親が、特に母親に負担が大きくメンタルを病んでしまう例も多いと聞いており、十分な支援が必要だと感じます。本来は児童相談所の役割かもしれませんが、児童相談所は既にたくさんの案件を抱えていらっしゃいますので、現実的には養子縁組家庭のフォローまで手が回っていないのではないかと感じます。同じ立場で悩みや課題を打ち明けられる養子縁組専用のサロンの存在が必要だと考えますが、ご見解を伺います。
○子ども家庭総合センター所長
ご質問の(2)養子縁組家庭へのフォロー体制についてお答えいたします。養子縁組をした場合においても、里親登録の辞退がなければ里親登録自体は継続しております。また、児童相談所では、困難な時期をうまく乗り越えられるように援助することを目的として、里親同士の養育に関しての話合いや情報の交換の場としてのサロンを実施しております。また、登録のない里親については、同居の届出を提出することになっておりまして、それにより児童相談所は養子縁組手続中の方の把握をしております。このような方に関しては、児童福祉指導などを通して半年ほど、半年以上ですね、家庭訪問等を行い、育児等への助言を行っており養子縁組後の相談については、一般の御家庭と同様に児童相談所や各区の子ども家庭総合センターで育児相談を受けられることをご案内しているところです。
○佐々木郷美委員
一般的な相談窓口もあると思いますが、養子縁組家庭ならではの家庭背景をゼロからまた相談しなければいけないという心の負担も考えていただき、共感し合える仲間と皆で子育てが出来るコミュニティづくりの支援、後押しもぜひご検討いただきたいと思います。では、次に移ります。
3 若者自立支援ルームについて
(1)実施状況と設置場所について
3番、若者自立支援ルームについてです。困難を抱えた子どもや若者を支援するため、平成25年さいたま市若者自立支援ルームが大宮駅西口桜木保育園跡に開設されました。開設当初から地域との関係性を構築して、自治会の事業やお祭り、青少年育成会などボランティア活動など、地域に根差した活動を展開しております。まず、現在の実施状況がどうなっているかお伺いします。
○子ども育成部長
お答えいたします。若者自立支援ルームにつきましては、これまでも利用者に寄り添った自立支援プログラムに基づきながら、就労や復学など円滑な自立が果たせるよう継続的な支援を行っているところでございます。お話のありました桜木の若者自立支援ルームに関係しての令和6年度の利用の実績でございますけれども、12月末時点で延べ利用人数3,300人、1日の平均利用者数につきましては19.6人となっております。
○佐々木郷美委員
移転したという土地、暫定だということですけれども、現在3C地区においても今後、現在の所在地においても今後まちづくりが予定されているということですけれども、今後の施設整備についてはどのように考えているのかお伺いします。
これまで培った地域との関係性を保ちつつ、できれば桜木地区内での整備が望まれますが、周辺におけるまちづくりの中で整備することも視野に、見解をお伺いいたします。
○子ども育成部長
お答えいたします。桜木の自立支援ルームでございますけれども、これまでも地元自治会の運動会、祭り、そして清掃活動のボランティアに参加するなど、これまでも地元との友好な関係が構築されているものでございます。そして、利用者の特性を考慮いたしますと、特に環境が変わることへの配慮が必要であると考え、今後につきましては、現在の近隣を中心に移転先の検討を進めるとともに、今後も事業が継続できるようにしてまいりたいと考えております。
○服部剛委員長
以上で、佐々木委員の質問を終了いたします。
※読みやすいように文意は変えず文章には若干修正を加えています。
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