○佐々木郷美 委員
立憲の佐々木でございます。初めての保健福祉委員会での議案外質問です、どうぞよろしくお願いいたします。
1 災害時の医薬品の安定供給について
⑴ モバイルファーマシー導入の検討状況、
薬剤師会などとの話し合いはなされているか
⑵ モバイルファーマシー導入における課題
○佐々木郷美 委員
まず、災害時の医療品の安定供給について。
今年1月の能登半島地震の際に、DMATなどの緊急医療チームと連携して、避難所での感染症前の対応、地元医療機関や薬局が被災して機能不全になった中で、慢性疾患の高齢者の方への医療品の供給において大活躍したのが、他県から出動したモバイルファーマシーでした。モバイルファーマシーは、キャンピングカーなどを改造して、医薬品だけでなく電源等も積んでいますのでオンライン診療が可能であり、避難所の衛生管理や生き残った薬局の支援など多様な機能を果たしたと聞いています。現在、モバイルファーマシーは全国で20台ありますが、埼玉県やさいたま市での保有台数は現在のところゼロです。現在、多くの市で導入が検討されているところでありますが、さいたま市におけるモバイルファーマシーの導入の検討の状況をお伺いします。
薬剤師会も全国的なネットワークがありますので、恐らくモバイルファーマシーの必要性が議論されていると推察いたしますが、さいたま市でも薬剤師会との話合いなどはなされているのでしょうか。また、導入や導入支援等に当たって課題になるのはどのようなことなのか、お示しいただきたい。
○保健部長
お答えさせていただきます。いわゆるモバイルファーマシーですが、国では災害対策医薬品供給車両と呼んでいるようです。その名前が示すとおり、災害時における被災地域の医療機能の維持を目的として、委員が御指摘いただいたようなところでは有用であると私どもも認識しています。こちらについては、薬剤師会の方からも、こういったものがあるとお話いただき、そういった意見交換や検討をさせていただいたところです。
ただ、ことモバイルファーマシーの運用に当たっては、薬剤師法上では例外規定に基づいて運用している状況にございまして、常時、平時にそういったものを活用できるかというと、なかなか活用しにくく、活用できない状況になっています。これは、薬剤師法上で薬局以外での調剤が認められてなくて、さらに、モバイルファーマシーが薬局として位置づけられないような状況になっていますので、調剤ができないとことになっています。ただし書きがあり、例外として災害その他特殊の事由により薬局で調剤できない場合などには、薬局以外での調剤が可能ということになっていて、そちらで運用されているということです。
国の方で検討会が催されて、その中で検討がされているようですが、モバイルファーマシーは、災害等において例外的に使用することを想定した設備であり、単体で薬局としての許可を有するものでなく、医師の処方箋に基づかない医薬品の販売授与はできないという見解が示されています。こういったことも、薬剤師会の方と意見交換させていただいているのが現状でございます。自治体が導入する場合の課題ですが、利用目的から今申し上げましたように、平時において、どのように活用できるかというところを考えると、防災訓練等で展示をすることぐらいで、自治体が保有するとなると活用できないと思っています。
あと、費用や人員の観点から、導入費用、人件費等を含む維持管理や整備費に多額の費用負担が生じるということもあります。また運用主体である薬剤師の方の人員確保をどうするかという問題もあります。さらには、今申し上げましたように平時の活用に関しては、移動薬局として利用することはできないという課題が挙げられます。実際、導入事例に関しましては、県の薬剤師会や薬科大学が所有しているのが現状であり、運用する薬剤師の確保なども考えると、このような団体が保有しているのが望ましいと考えています。
いずれにいたしましても、モバイルファーマシーの導入に関しては、国や団体、他自治体の動向を注視してまいりたい。なお、災害時の医薬品の安定供給につきましては、さいたま市災害保健医療体制検討会の医薬品専門部会等で検討し、さいたま市災害用医薬品等備蓄業務をさいたま市薬剤師会と委託契約するとともに、災害時における医療用医薬品の調達業務に関する協定書を一般社団法人埼玉県医薬品卸業協会とも締結しています。
○佐々木郷美 委員
ありがとうございます。高齢化する中で、地域が災害に見舞われた際に薬を安定的に供給できるかというのは本当に命に関わると思います。災害時以外の活用が課題ということでしたが、先ほどおっしゃったように防災訓練、薬と健康の週間、あと薬物乱用防止キャンペーンや医薬品の適正使用に関する啓蒙活動など、様々な各種行事で活用されているという事例もあるようです。今後も、薬剤師会や県、また医療機関と継続して話合いを進めて検討していただきたい。
2 生活困窮者自立支援について
⑴ 福祉まるごと相談窓口における多様な専門家との連携について
⑵ 福祉まるごと相談窓口における部門横断的な連携について
では、2番の生活困窮者自立支援について。
こちらも(1)と(2)一緒に質問させていただきます。令和4年から生活困窮者自立支援事業として、さいたま市では「福祉まるごと相談窓口」が10区に設置され、安定した利用者数があると伺っています。生活困窮者が何でも相談できる窓口であるべきですが、具体的な解決に結びつけるためには、福祉まるごとだけでなく、それぞれの課題を解決できる外部の専門家や関係部門と連携して一体となって支援すること、また、紹介、あっせんしてつなぐということが本来のワンストップの形であると考えます。
例えば、数多くある支援メニューの中に就労支援や家計改善支援がありますが、生活困窮者の多くの方が高齢でありまた障害を持っていることを考えると、就労できても限定的な可能性があるので、家計改善の側面はもう一つの側面として非常に大切だと考えます。家計改善支援では、どのような外部の専門家に御協力いただいているか示してください。また、家計改善支援の中でも、支出抑制と同時に大切なのが、利用者の方の資産拡大の側面だと思われます。そういう面でのアプローチでも庁内で連携をとって支援されているのか、現状や今後についてお伺いしたい。
○生活福祉部長
佐々木郷美委員の御質問の2、生活困窮者自立支援(1)福祉まるごと相談窓口における多様な専門家との連携についてお答えいたします。
生活困窮者への家計改善支援につきましては、家計に課題を抱える生活困窮者からの相談に応じて相談とともに家計の状況を明らかにして、生活の再生に向けた意欲を引き出すものです。その上で、専門的な視点から必要な情報提供及び専門的な助言、指導等を行うことにより相談者自身の家計を管理する力を高め、早期の生活再生を支援することを目的としています。委員御指摘のとおり、本事業は、専門家による客観的な視点で家計の見直しや助言等を行うことにより、本人も気がつかなかった面での家計の改善が図れるものとして、大変有効な事業であると考えております。
本事業は委託により実施しており、家計診断、家計プランの作成、家計再建のための計画の策定など、ファイナンシャルプランナー及び社会福祉等の専門的な知識、技能を有する者を配置しています。なお、昨年度の実績といたしまして、生活に困窮する82世帯に家計改善プランを作成して支援いたしました。今後につきましても、生活困窮者等の自立に向けて、家計改善支援はもとより各種支援策を実施、推進してまいります。
続きまして、(2)福祉まるごと相談窓口における部門横断的な連携についてお答えします。福祉まるごと相談窓口に寄せられる相談のうち、金銭的に困窮しているという内容の相談がおよそ半数以上となっておりますが、中には体調を崩して働けなくなり、家族の介護で仕事ができなくなった等、複合的な課題が重なっていることが要因になっている場合がございます。窓口では、相談者の状況に応じて、就労支援や家計改善支援を行っていますが、事例で挙げられた障害年金の受給などはまさに関係課等と協力して対応する必要があり、委員御指摘のとおり部門横断的な連携は必要不可欠であると認識しています。
現状の連携体制としては、相談者の相談内容に応じて庁内関係課、窓口自体が区にございますので区の関係課の相談窓口につなぐだけでなく、関係課等を交えた検討会議を開催する仕組みを整備しております。この検討会議において庁内関係課はもとより、地域の関係機関等も交え、関係者の間で情報共有を図りながら支援を進め、多岐にわたる相談への対応に備えているところです。今後につきましても、引き続き相談者の抱える課題にきめ細やかに対応できるよう会議開催を通じて庁内関係課等の連携を深めながら、部門横断的な連携体制の強化に取り組んでまいります。
○佐々木郷美 委員
ありがとうございます。桶川市などでは、外部の専門家を活用して年金申請業務を支援することで、その方の持っている権利を行使する形で資産を拡大し、また、生活困窮者支援の窓口が高齢福祉課または障害の部門と連携することで、疾病手当や障害者手当などが受給できて自立に近づいたという例もお聞きします。資産を高めるというアプローチは市税の財政的にもインパクトのある施策だと思いますので、連携していただいている様子を今伺いましたが、今後とも部門連携、または外部の専門家との連携を強めていっていただきたい。
3 ファミリーサポート事業の提供会員の負担軽減について
⑴ 報告書の提出手段について
では、ファミリーサポート事業の提供会員の負担軽減について。
ファミリーサポート事業は、地域で子育てをする非常に意義のある事業だと考えますが、私の周りにも提供会員として活動している方がおられて、毎回の報告作業に非常に手間がかかって大変だという御意見をいただいています。複写になっている紙の報告書のフォーマットに手書きで記入して毎月郵送する必要があり、封筒と切手代も自費で用意しているとのことでした。エクセルの報告書をメールで添付するとか、電子フォームに記入するというような形がとれると、双方に手間やコストが軽減されると考えますがいかがでしょうか。
○子ども育成部長
お答えいたします。ファミリーサポート事業でございますが、仕事や家庭の都合で育児の手伝いをしてほしい方、そして心身ともに健康で子育てに意欲と理解があり、育児の手助けをしたい方がお互いに助け合って、育児のサポートを行う会員同士の相互援助活動であるファミリーサポートセンターを本市でも実施しているところでございます。先ほど委員から御指摘がありましたとおりに、本事業の活動終了後、提供会員は報告活動書を同センターに提出することになっています。現在、そのような書き方について、複写の紙、そして報告につきましては、封筒代、あるいは郵送料を提供会員が負担しています。委員御指摘のとおり、本市でも提供会員が提出する活動報告に係る負担を軽減するため、今後、連絡ツール、メール、専用の返信封筒などを活用するなど、同センターの方と調整を図りながら、早期にできるものからまず検討を進めていきたいと思います。
○佐々木郷美 委員
ありがとうございます。まずは、提供会員の方が負担されている切手や封筒が用意されるだけでも、大きな前進になるかと思いますのでぜひよろしくお願いいたします。提供会員の方が気持ちよくこの事業に携わり続けてくださることが、この事業継続の上でも本当に重要なことだと思います。負担軽減を引き続きよろしくお願いいたします。
4 思春期保健事業について
⑴ 遊んだり触れたりしながら学べるツールの活用について
では、4番の思春期保健事業について。
さいたま市では、子供たちに命の大切さや性についての正しい知識を教えるために、埼玉県助産師会の埼玉地区から助産師の先生を派遣いただいて、1年に35校の小中学校で思春期保健教室という事業を行っていただいています。非常に意義ある事業だと考えております。ただ、現在この事業に携わる助産師の先生の人数の限界から、この1年35校での実施が最大とお聞きしていますが、この認識は正しいでしょうか。今後、これ以上展開しようと考えたとき、例えば、各校にいらっしゃる養護教諭の先生が同じ授業を行う可能性はあるのでしょうか。
○子ども育成部長
お答えいたします。本市の思春期保健教室は、市立の小中高等学校の児童生徒に対して命の大切さや性に関する正しい知識の普及等を目的とし、先ほどおっしゃられたとおり埼玉県助産師会さいたま市地区に委託して、実施しているところでございます。本事業は、平成29年度にモデル事業として5校で開始して、大変好評で、近年は学校からの要望も多く、令和5年度は35校で実施しています。実施に当たりましては、思春期保健に係る専門的な知識と経験を有し、かつ講師としての技術を持ち合わせる人材が限られていることもあり、なかなか市内全校での実施は難しく、より多くの子供たちへの知識の普及が現在課題となっています。現在、講義の形式にとらわれず、広く効果的に子供たちに伝えることが可能な啓発ツールや、動画などを用いた手法を行うことができるような性教育の実施方法等も検討しているところでございます。
○佐々木郷美 委員
現在行っている思春期講座というのは、外部の講師だからこそ行える授業だと伺いました。保護者としては、様々な性に関する情報にさらされる現代の子供たちには、少なくとも1回は受けて欲しい授業でありますが、全校実施には程遠い状況であり、現段階で講師派遣の形で実施校を増やすのは難しいという現状にあると理解しています。
先日、小学校5年生から高校生までの若者が、性や自分の体についての悩みを相談できる東京都の若者サポートセンター、通称「わかさぽ」を視察してまいりました。若者が足を運びやすい渋谷の立地で面談する部屋以外にカフェ風のオープンスペースがあり、そちらでは啓発本が置かれて、独自に制作した動画を流していたり、自由に手に取ったり視聴して過ごせる空間があり、何か感じ取って帰れるような雰囲気でした。
その中に、ちょっとこちらを見ていただきたいのですが、このような形の手に取って遊びながら学べるかるたを見つけました。こちらは国際セクシュアリティガイダンスに基づいて作成されたもので、全て文言は平仮名になっており、本当に低学年の子供でも親しみやすくて分かりやすく、体についての知識、性についての知識を教えるものとなっておりました。例えば、今後このような教材を各校に一つずつ購入いただいて、保健室等において、子供たちの目に触れて何気なく遊んだり、また養護の先生とのふとした会話のきっかけになったりするような仕掛けづくりはいかがでしょうか。すぐに外部講師を呼ぶ機会を増やすことは難しいとしても、同様の知識に触れる機会を増やす一助になるのではないかと思います。改めて御見解を伺いたい。
○子ども育成部長
お答えいたします。先ほどもお答えしましたが、講義の形式にとらわれず、広く効果的に子供たちに伝えることが非常に大切な事業だと思っています。そして、今、委員から御提言いただきました、実際に子供たちが遊んだり触れたりしながら学ぶようなことができる環境、具体的にはかるた等のツールも含め、思春期の保健事業のより具体的な取り組み方について検討してまいります。
○佐々木郷美 委員
ありがとうございます。引き続き、よろしくお願いいたします。
○服部剛 委員長
以上で佐々木委員の質問を終了いたします。
※読みやすいように文意は変えず文章には若干修正を加えています。
Comments